概要

iTerm2は、日々の開発作業を劇的に効率化する高機能ターミナルエミュレータです。特に便利なのが、複数のターミナルセッションの状態を保存し、次回作業時に簡単に復元できる機能群。これにより、前日の作業状況をそのまま引き継ぎ、スムーズに作業を開始できます。
このガイドでは、iTerm2の「Split Panes(ペイン分割)」、「Window Arrangement(ウィンドウ配置の保存・復元)」、「Session Restoration(セッションの自動復元)」、そして強力な「tmux連携」について詳しく解説します。
目次
Split Panes:一つのウィンドウで複数作業
Split Panes機能を使うと、1つのiTerm2ウィンドウを複数の「ペイン」に分割し、それぞれのペインで独立したターミナルセッションを実行できます。これにより、複数の作業を同時に進めたり、ログの監視とコード編集を並行したりする際に非常に便利です。
| 操作 | ショートカットキー |
| 垂直分割 | Cmd + D |
| 水平分割 | Cmd + Shift + D |
| ペインを閉じる | Cmd + W |
Google スプレッドシートにエクスポート
Cmd + Wは、開いているペイン(またはタブ、ウィンドウ)を閉じる共通のショートカットです。意図しないペインを閉じてしまわないよう、注意して使いましょう。
graph TD
A[iTerm2ウィンドウ] --> B(ペイン1: 開発サーバー);
A --> C(ペイン2: コード編集);
A --> D(ペイン3: Git操作);
subgraph "分割操作"
B -- Cmd + D (垂直) --> E(ペイン1.1: ログ);
B -- Cmd + Shift + D (水平) --> F(ペイン1.2: ビルド);
end
E -- Cmd + W (閉じる) --> B;
セッションの保存と復元:前日の状態を再現
iTerm2には、現在の作業環境を保持し、次回すぐに再開するための複数の方法があります。
Window Arrangementの保存と復元
現在のウィンドウ配置(ペインの分割状態、各ペインで実行中のプロセスなど)を、名前を付けて保存できます。
保存方法:
- 現在のiTerm2ウィンドウを理想の状態に設定します。
- メニューバーから
Window>Save Window Arrangementを選択します。 - 表示されるダイアログで、分かりやすい名前(例: "My Dev Setup")を付けて保存します。
復元方法:
- メニューバーから
Window>Restore Window Arrangementを選択します。 - 保存しておいた配置名を選択すると、当時の状態が再現されます。
graph TD
subgraph "Window Arrangement"
A[現在のiTerm2状態] --> B(メニュー: Window > Save Window Arrangement);
B --> C{名前を付けて保存};
C --> D[保存された配置 (例: Dev Setup)];
E[iTerm2起動] --> F(メニュー: Window > Restore Window Arrangement);
F --> G{保存した配置を選択};
G --> H[保存時の状態を復元];
end
Session Restoration(セッションの自動復元)
iTerm2終了時のセッション状態を自動的に保存し、次回起動時にその状態を復元する便利な設定です。
設定方法:
- iTerm2の
Preferences(設定) を開きます (Cmd+,)。 Generalタブを選択します。Closingセクションにある以下のオプションを有効にします。Hotkey window restores state on startupQuit iTerm2 instead of closing windows
自動復元: この設定を有効にすると、iTerm2を終了しても、次回iTerm2を起動した際に前回のウィンドウとタブの状態が自動的に復元されます。
graph TD
subgraph "Session Restoration"
A[iTerm2終了時] --> B{設定: Preferences > General > Closing};
B --> C[Hotkey window restores state on startup を有効];
B --> D[Quit iTerm2 instead of closing windows を有効];
C & D --> E[セッション状態を自動保存];
F[次回iTerm2起動時] --> G[自動保存された状態を復元];
end
tmuxの利用:強力なターミナルマルチプレクサ
tmuxは、iTerm2とは独立してターミナルセッションを管理できる強力なツールです。セッションをサーバー上に「保持(デタッチ)」できるため、iTerm2を閉じても、Macをシャットダウンしても、次回再接続時に全く同じセッションを再開できます。iTerm2はtmuxとの統合機能も備えています。
tmuxの基本的な流れ:
- インストール:
brew install tmux
- セッション開始:
tmux new -s <セッション名> (例: tmux new -s mysession)
- セッションデタッチ:
Ctrl+b、次にd(セッションを切断し、バックグラウンドで実行状態に保つ) - セッション再接続:
tmux attach -t <セッション名> (例: tmux attach -t mysession)
graph TD
subgraph "tmuxの活用"
A[開発マシン上でtmuxをインストール] --> B(iTerm2でtmuxセッションを開始);
B -- tmux new -s dev --> C[ターミナルセッションが開始];
C --> D{一時的に作業を中断};
D -- Ctrl + b, d (デタッチ) --> E[セッションはサーバー上で実行中];
F[後日、iTerm2を再起動] --> G(デタッチしたセッションに再接続);
G -- tmux attach -t dev --> C;
end
これらの機能を活用することで、iTerm2での作業効率が格段に向上し、毎日の開発作業がよりスムーズになります。ぜひご自身のワークフローに合わせて活用してみてください。
