概要

Pythonプログラミングの最重要概念である「変数」について、初心者でも直感的に理解できるよう図解を交えて解説します。変数を「データに名前をつける魔法の箱」と捉え、基本的な作り方(代入)、数値や文字列といった「データ型」、分かりやすい名前をつけるためのルールと習慣を学びます。
さらに、変数の値を更新したり、変数同士で計算したりする方法を具体的なコードで紹介。プログラムを柔軟で読みやすくするための、変数の本質的な役割と使い方をマスターすることを目的としています。
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ゼロから始めるPython学習 STEP20目次
プログラミング未経験者向けPython入門講座。環境構築から変数、if文、for文、関数といった基本までを20のステップでわかりやすく解説します。自分のペースで一歩ずつ着実に学び、プログラミングの第一歩を踏み出しましょう!
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目次
はじめに
プログラミングの世界へようこそ!ここまでのステップで、数値の計算や文字の表示など、Pythonに簡単な命令を出す方法を学んできました。今回は、プログラミングの中核とも言える非常に重要な概念、「変数(へんすう)」について学んでいきましょう。これが使えるようになると、作れるプログラムの幅がぐっと広がりますよ!
1. 変数とは? - データに名前をつける魔法の箱 🧙
皆さんは、たくさんの物を整理するとき、どうしていますか? おそらく、種類ごとに箱にしまって、その箱に「文房具」や「写真」といったラベルを貼るのではないでしょうか。
プログラミングでも同じことをします。プログラムでは、数値や文字列といった様々な「データ」を扱います。これらのデータを、後でまた使いたくなったときのために、一時的に保存しておく場所が必要です。その「場所」に分かりやすい「名前」をつけたものが変数です。
変数はよく「データを入れるための箱」に例えられます。
graph TD; subgraph "変数のイメージ" A["データ<br>(例: 'こんにちは'という文字列)"] -- "入れる" --> B{"<br>箱<br>(メモリ上の場所)<br>"}; B -- "名前をつける" --> C["ラベル<br>(変数名: greeting)"]; end
この図のように、データ('こんにちは')を箱(コンピュータのメモリ)に入れ、その箱にgreeting
という名前のラベルを貼る。これが変数の基本的な考え方です。一度こうして名前をつけておけば、後はgreeting
という名前を呼ぶだけで、いつでも中に入っている「'こんにちは'」というデータを取り出して使うことができます。とても便利ですよね!
2. 変数の作り方と使い方 - 「代入」をマスターしよう
では、実際にPythonで変数を作ってみましょう。変数にデータを入れることを「代入(だいにゅう)」と呼びます。これには等号=
(イコール)を使います。
基本の形: 変数名 = データ
Python
# 'price'という名前の変数に、数値の150を代入する price = 150 # 'animal_name'という名前の変数に、文字列の'ねこ'を代入する animal_name = 'ねこ'
ここで一つ注意点です。プログラミングにおける=
は、数学の「等しい」という意味とは少し違います。「右辺のデータを、左辺の変数名の箱に入れる(代入する)」という命令だと覚えてください。矢印←
のようなイメージ(price ← 150
)を持つと分かりやすいかもしれません。
変数の中身を見てみよう
変数にデータがちゃんと入っているか確認するには、print()
関数を使います。
price = 150 animal_name = 'ねこ' # 変数priceの中身を表示 print(price) # 変数animal_nameの中身を表示 print(animal_name)
実行結果:
150 ねこ
print(price)
と書くと、price
という文字が表示されるのではなく、price
という名前の箱に入っている中身(データ)である150
が表示されるのがポイントです。
3. 変数に入れられるデータの種類 - 「データ型」
変数の箱には、色々な種類のデータをいれることができます。データの種類のことを「データ型(データがた)」と呼びます。まずは代表的なものをいくつか見てみましょう。
データ型 | 説明 | 例 |
整数型 (int ) | 小数点のない数値。integerの略。 | 10 , 0 , -5 |
浮動小数点型 (float ) | 小数点のある数値。 | 3.14 , -0.01 , 2.0 |
文字列型 (str ) | 文字の集まり。stringの略。' または" で囲む。 | 'こんにちは' , "Python" |
ブール型 (bool ) | True (真) と False (偽) の2種類しかない特殊な型。 | True , False |
# 整数型 (int) user_age = 25 # 浮動小数点型 (float) pi = 3.14 # 文字列型 (str) favorite_food = "カレーライス" # ブール型 (bool) is_student = True # 私は学生です(真) print(user_age) print(pi) print(favorite_food) print(is_student)
実行結果:
25 3.14 カレーライス True
Pythonは、代入されたデータを見て自動的にデータ型を判断してくれる賢い言語です。
4. 変数名のルールと良い習慣 ✍️
変数には好きな名前をつけられますが、いくつか守らなければならないルールと、プログラムを分かりやすくするための良い習慣(マナー)があります。
絶対的なルール
- 使える文字: 英字 (
a
~z
,A
~Z
)、数字 (0
~9
)、アンダースコア (_
) のみ。 - 最初の文字: 数字から始めることはできません。(
2nd_user
はNG、user_2nd
はOK) - 予約語は使えない:
if
,for
,class
など、Pythonの文法として意味を持つ単語(予約語)は変数名に使えません。 - 大文字と小文字の区別:
name
,Name
,NAME
はすべて別の変数として扱われます。
読みやすくするための良い習慣
- 意味のある名前をつける:
x = 100
よりもprice = 100
の方が、何を表す変数なのか一目瞭然です。 - スネークケースを使う: 複数の単語からなる変数名の場合、
user_name
やtotal_price
のように、単語間をアンダースコア_
でつなぐ書き方が推奨されています(これをスネークケースと呼びます)。
良い例: user_name
, age
, total_price
, is_active
悪い例: a
, if
, 2_items
, UserName
(間違いではないがスネークケースが一般的)
5. 変数を使いこなす - 更新と計算
変数の真価は、その名の通り「中身を変化させられる」点にあります。
値の更新(再代入)
一度データを入れた変数に、別のデータを代入し直すことができます。これを「再代入」と言います。再代入すると、古いデータは消えて新しいデータに上書きされます。
graph TD; subgraph "変数の更新イメージ" direction LR subgraph "1 . 最初の状態" A["データ: 100円"] --> B{"変数'price'の箱"}; end subgraph "2 . 新しいデータを代入" C["新しいデータ: 120円"] -- "上書き!" --> B; A -.-> |古いデータは消える| B; end end
実際のコードを見てみましょう。
Python
score = 80 print("最初の点数:", score) # 実行結果: 最初の点数: 80 # 点数が10点上がったので、値を更新する score = 90 print("更新後の点数:", score) # 実行結果: 更新後の点数: 90
変数を使った計算
変数に数値が入っていれば、その変数を使って計算ができます。
# りんご1個の値段 apple_price = 150 # 買う個数 apple_count = 3 # 合計金額を計算 total_price = apple_price * apple_count # 結果を表示 print("合計金額は", total_price, "円です")
実行結果:
合計金額は 450 円です
このように、150 * 3
と直接書くのではなく、apple_price
や apple_count
といった変数を使うことで、コードの意味が格段に分かりやすくなります。もし後からりんごの値段が160円に変わっても、apple_price = 160
の1行を修正するだけで、合計金額も正しく再計算されます。これが変数を使う大きなメリットです。
文字列の変数も、+
を使って連結することができます。
last_name = "山田" first_name = "太郎" full_name = last_name + first_name print(full_name) # 実行結果: 山田太郎
まとめ
今回は、プログラミングの基本であり最も重要な要素の一つである「変数」について学びました。
- 変数は、データに名前をつけて保存しておくための「箱」のようなもの。
=
を使って、変数にデータを代入する。- 変数には、数値 (
int
,float
) や文字列 (str
) など、様々なデータ型がある。 - 変数名にはルールがある。分かりやすい名前をつけることがとても大切。
- 変数の値は更新(再代入)でき、変数を使って計算もできる。
変数をマスターすることは、複雑で実用的なプログラムを作るための第一歩です。最初は難しく感じるかもしれませんが、色々なデータで変数を作ってprint
してみるなど、実際に手を動かしながら「データに名前をつけて操作する」感覚に慣れていきましょう!
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