プログラミング

Step 4: 「変数」の基本(データに名前をつけて保存する)

Step 4: 「変数」の基本(データに名前をつけて保存する)

概要

フリーランスエンジニア スリーネクスト

Pythonプログラミングの最重要概念である「変数」について、初心者でも直感的に理解できるよう図解を交えて解説します。変数を「データに名前をつける魔法の箱」と捉え、基本的な作り方(代入)、数値や文字列といった「データ型」、分かりやすい名前をつけるためのルールと習慣を学びます。

さらに、変数の値を更新したり、変数同士で計算したりする方法を具体的なコードで紹介。プログラムを柔軟で読みやすくするための、変数の本質的な役割と使い方をマスターすることを目的としています。

目次
「ゼロから始めるPython学習」各ステップのタイトル案
ゼロから始めるPython学習 STEP20目次

プログラミング未経験者向けPython入門講座。環境構築から変数、if文、for文、関数といった基本までを20のステップでわかりやすく解説します。自分のペースで一歩ずつ着実に学び、プログラミングの第一歩を踏み出しましょう!

続きを見る

はじめに

プログラミングの世界へようこそ!ここまでのステップで、数値の計算や文字の表示など、Pythonに簡単な命令を出す方法を学んできました。今回は、プログラミングの中核とも言える非常に重要な概念、「変数(へんすう)」について学んでいきましょう。これが使えるようになると、作れるプログラムの幅がぐっと広がりますよ!

1. 変数とは? - データに名前をつける魔法の箱 🧙

皆さんは、たくさんの物を整理するとき、どうしていますか? おそらく、種類ごとに箱にしまって、その箱に「文房具」や「写真」といったラベルを貼るのではないでしょうか。

プログラミングでも同じことをします。プログラムでは、数値や文字列といった様々な「データ」を扱います。これらのデータを、後でまた使いたくなったときのために、一時的に保存しておく場所が必要です。その「場所」に分かりやすい「名前」をつけたものが変数です。

変数はよく「データを入れるための箱」に例えられます。

graph TD;
    subgraph "変数のイメージ"
        A["データ<br>(例: 'こんにちは'という文字列)"] -- "入れる" --> B{"<br>箱<br>(メモリ上の場所)<br>"};
        B -- "名前をつける" --> C["ラベル<br>(変数名: greeting)"];
    end

この図のように、データ('こんにちは')を箱(コンピュータのメモリ)に入れ、その箱にgreetingという名前のラベルを貼る。これが変数の基本的な考え方です。一度こうして名前をつけておけば、後はgreetingという名前を呼ぶだけで、いつでも中に入っている「'こんにちは'」というデータを取り出して使うことができます。とても便利ですよね!

2. 変数の作り方と使い方 - 「代入」をマスターしよう

では、実際にPythonで変数を作ってみましょう。変数にデータを入れることを「代入(だいにゅう)」と呼びます。これには等号=(イコール)を使います。

基本の形: 変数名 = データ

Python

# 'price'という名前の変数に、数値の150を代入する
price = 150

# 'animal_name'という名前の変数に、文字列の'ねこ'を代入する
animal_name = 'ねこ'

ここで一つ注意点です。プログラミングにおける=は、数学の「等しい」という意味とは少し違います。「右辺のデータを、左辺の変数名の箱に入れる(代入する)」という命令だと覚えてください。矢印のようなイメージ(price ← 150)を持つと分かりやすいかもしれません。

変数の中身を見てみよう

変数にデータがちゃんと入っているか確認するには、print()関数を使います。

price = 150
animal_name = 'ねこ'

# 変数priceの中身を表示
print(price)

# 変数animal_nameの中身を表示
print(animal_name)

実行結果:

150
ねこ

print(price)と書くと、priceという文字が表示されるのではなく、priceという名前の箱に入っている中身(データ)である150が表示されるのがポイントです。


3. 変数に入れられるデータの種類 - 「データ型」

変数の箱には、色々な種類のデータをいれることができます。データの種類のことを「データ型(データがた)」と呼びます。まずは代表的なものをいくつか見てみましょう。

データ型説明
整数型 (int)小数点のない数値。integerの略。10, 0, -5
浮動小数点型 (float)小数点のある数値。3.14, -0.01, 2.0
文字列型 (str)文字の集まり。stringの略。'または"で囲む。'こんにちは', "Python"
ブール型 (bool)True (真) と False (偽) の2種類しかない特殊な型。True, False
# 整数型 (int)
user_age = 25

# 浮動小数点型 (float)
pi = 3.14

# 文字列型 (str)
favorite_food = "カレーライス"

# ブール型 (bool)
is_student = True # 私は学生です(真)

print(user_age)
print(pi)
print(favorite_food)
print(is_student)

実行結果:

25
3.14
カレーライス
True

Pythonは、代入されたデータを見て自動的にデータ型を判断してくれる賢い言語です。


4. 変数名のルールと良い習慣 ✍️

変数には好きな名前をつけられますが、いくつか守らなければならないルールと、プログラムを分かりやすくするための良い習慣(マナー)があります。

絶対的なルール

  • 使える文字: 英字 (a~z, A~Z)、数字 (0~9)、アンダースコア (_) のみ。
  • 最初の文字: 数字から始めることはできません。(2nd_userはNG、user_2ndはOK)
  • 予約語は使えない: if, for, classなど、Pythonの文法として意味を持つ単語(予約語)は変数名に使えません。
  • 大文字と小文字の区別: name, Name, NAMEはすべて別の変数として扱われます。

読みやすくするための良い習慣

  • 意味のある名前をつける: x = 100 よりも price = 100 の方が、何を表す変数なのか一目瞭然です。
  • スネークケースを使う: 複数の単語からなる変数名の場合、user_nametotal_priceのように、単語間をアンダースコア _ でつなぐ書き方が推奨されています(これをスネークケースと呼びます)。

良い例: user_name, age, total_price, is_active 悪い例: a, if, 2_items, UserName (間違いではないがスネークケースが一般的)


5. 変数を使いこなす - 更新と計算

変数の真価は、その名の通り「中身を変化させられる」点にあります。

値の更新(再代入)

一度データを入れた変数に、別のデータを代入し直すことができます。これを「再代入」と言います。再代入すると、古いデータは消えて新しいデータに上書きされます。

graph TD;
    subgraph "変数の更新イメージ"
        direction LR
        subgraph "1 . 最初の状態"
            A["データ: 100円"] --> B{"変数'price'の箱"};
        end
        subgraph "2 . 新しいデータを代入"
            C["新しいデータ: 120円"] -- "上書き!" --> B;
            A -.-> |古いデータは消える| B;
        end
    end

実際のコードを見てみましょう。

Python

score = 80
print("最初の点数:", score) # 実行結果: 最初の点数: 80

# 点数が10点上がったので、値を更新する
score = 90
print("更新後の点数:", score) # 実行結果: 更新後の点数: 90

変数を使った計算

変数に数値が入っていれば、その変数を使って計算ができます。

# りんご1個の値段
apple_price = 150

# 買う個数
apple_count = 3

# 合計金額を計算
total_price = apple_price * apple_count

# 結果を表示
print("合計金額は", total_price, "円です")

実行結果:

合計金額は 450 円です

このように、150 * 3 と直接書くのではなく、apple_priceapple_count といった変数を使うことで、コードの意味が格段に分かりやすくなります。もし後からりんごの値段が160円に変わっても、apple_price = 160 の1行を修正するだけで、合計金額も正しく再計算されます。これが変数を使う大きなメリットです。

文字列の変数も、+ を使って連結することができます。

last_name = "山田"
first_name = "太郎"

full_name = last_name + first_name
print(full_name) # 実行結果: 山田太郎

まとめ

今回は、プログラミングの基本であり最も重要な要素の一つである「変数」について学びました。

  • 変数は、データに名前をつけて保存しておくための「」のようなもの。
  • = を使って、変数にデータを代入する。
  • 変数には、数値 (int, float) や文字列 (str) など、様々なデータ型がある。
  • 変数名にはルールがある。分かりやすい名前をつけることがとても大切。
  • 変数の値は更新(再代入)でき、変数を使って計算もできる。

変数をマスターすることは、複雑で実用的なプログラムを作るための第一歩です。最初は難しく感じるかもしれませんが、色々なデータで変数を作ってprintしてみるなど、実際に手を動かしながら「データに名前をつけて操作する」感覚に慣れていきましょう!

目次
「ゼロから始めるPython学習」各ステップのタイトル案
ゼロから始めるPython学習 STEP20目次

プログラミング未経験者向けPython入門講座。環境構築から変数、if文、for文、関数といった基本までを20のステップでわかりやすく解説します。自分のペースで一歩ずつ着実に学び、プログラミングの第一歩を踏み出しましょう!

続きを見る

-プログラミング